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木のはなし vol.1「日本家屋の床に最適な無垢材は?」

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MUQUのコンセプトは「天然木のぬくもり感じる、無垢材の部屋」。「無垢材」とは、丸太から切り出したままの自然な状態の木材ことで、その天然木を100%使ったフローリングは「無垢フローリング(単層フローリング)」と呼ばれています。

一方、いま一般的な賃貸物件に使われているフローリングは「合板フローリング(複合フローリング)」。複数の木板を接着剤で貼り合わせた合板の表面に、板やシートを貼ってコーティングしたもので、「フローリング」と聞けばこちらをイメージする人が多いのではないでしょうか。

戦後、日本に団地ができはじめた当初、集合住宅の床は畳敷きと板敷きで、床板には無垢材が使われていました。しかし、無垢フローリングは湿度によって伸縮したり、表面にキズがつきやすいなどの性質があるため、そういった問題を解決するために合板フローリングが生まれ、やがて主流となっていきます。

時代はめぐり、平成も終盤。ここ数年、ハイグレードな分譲マンションなどで採用されることが増えてきた無垢フローリング。MUQUのように賃貸物件で見かけることも少なくありません。短所を考慮してもなおありあまる無垢材の魅力とはいったいなにか。「ぬくもりがある」「肌触りがいい」といった漠然としたイメージはあるけれど、それって本当なの?

そこで今回は、神戸市・東灘区にある無垢材フローリングとウッドデッキの専門店「エコロキア」さんを訪問。無垢材マニアでもある店主の正木孝昌さんにお話を伺いました。

床は見た目が9割!?

神戸市の東端に位置する東灘区。近畿有数の住宅地として知られるこの街の、マンションが立ち並ぶ一角に「エコロキア」はあります。ガラスの扉を開け、店内に飾られたモトベカンのヴィンテージバイクやロイ・リキテンスタインのリトグラフを目にすると、一瞬「なんのお店?」と思ってしまいそうですが、もっとも存在感を放っているのは、大量の無垢材、そして木の香り。国内外から選りすぐった約30樹種が所狭しと並びます。

店主の正木さんはエコロキアを開業して2年。不動産会社の役員やウェブ制作を経て、前職の無垢フローリング販売会社で無垢材に出会いましたが、当時は木のことにはまるで興味がなかったのだとか。しかし、仕事に生かせる知識につながればと国内で有名な巨樹巨木を見て回っているうちにその魅力に取りつかれ、いまではすっかり樹木マニアに。そんな正木さんに、無垢フローリングの最大の魅力はなにか尋ねると、返ってきたのは「かっこいいから」という答え。

「無垢材は樹種によって特性がまったく違うので、一概に『これが魅力だ』とは言えないんです。どの樹種の無垢フローリングにも共通しているのは、とにかく見た目がかっこいいということ。元も子もないことを言うようですが、見た目は重要です」と正木さん。

正木さんのおっしゃるとおり、見た目は重要。床は居住空間のなかでもかなり広い面積を占めるため、その表情で空間の雰囲気が決まってしまいます。毎日長い時間を過ごすのだから、見た目にこだわるのは当たり前。決しておかしな考え方ではないのです。

「あと実用的なところで言うと、天然の木なのであまり静電気を発しないんですね。おかげで、合板フローリングに比べてホコリがたまりにくい」

どの無垢フローリングにも共通して言えるのは、見た目のかっこよさと、ホコリがたまりにくい点。でも、世間では「ぬくもりがある」「肌触りがいい」なんてことが魅力としてよく挙げられます。実際のところはどうなんですか?

「樹種によって異なります。たとえば、いわゆる『ぬくもり』を『肌で感じる暖かさ』だとすると、それを左右するのは空気の含有率──その木がどれだけ空気を含んでいるのか、です。例外もありますが、基本的に針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は重くて硬い。針葉樹は空気をたくさん含んでいるので熱の伝導率が悪く、冬に下が底冷えしても温度に左右されにくいんですね。一方、繊維のぎゅっと詰まった広葉樹にはあまり空気が含まれておらず熱伝導率が良いので、下が冷たいとすぐに冷たくなる。鉄と同じ、熱しやすく冷めやすいイメージです」

そう言って、目の前の机に針葉樹のパイン材と広葉樹のアジアンウォールナット材を並べてくれた正木さん。試しにどちらも触らせてもらうと、その差は歴然! パイン材のほうがあきらかに軽く暖かく、アジアンウォールナットは重たく冷たいのです。

「これは『比重』という数値でも表すことができて、針葉樹の代表格であるパインや杉の比重は0.3くらい。比重が高いほど硬く重い木になり、1を超えると水に沈みます」

針葉樹は柔らかいので肌触りが良く、冬も暖かい。つまりリビングの無垢フローリングにはパイン材のような木が最適だということ……? でも、そう単純な話でもないようです。

「たしかにパイン材のフローリングは、裸足にすごく心地良いです。ただ、柔らかすぎるので傷がつきやすい。北欧などではパイン材のフローリングが多いですが、あちらの人たちは屋内でも靴を履いたまま過ごすので、床に多少の凹凸があっても気にならないんです。日本の住居に使う場合、おすすめしているのは柔らかすぎず硬すぎない、比重が0.4〜0.7くらいの木材。これだと比較的傷がつきにくいうえ、合板フローリングに比べて十分に暖かい。たとえばアカシアやカバですね」

なるほど、それでMUQUのフローリングにも、アカシアやカバザクラを推奨してくれたのですね! ともに、入居者さんから好評いただいているのにも納得です。

木の王様にも負けない吉野杉

もちろん、傷がついてもかまわないから柔らかく暖かいパイン材がいいという人もいるでしょうし、犬や猫を飼っているから硬い木にしたいという人もいるでしょう。どの無垢材が最適なのかは、人のライフスタイルによってさまざま。そんななかで、正木さんがあえて「1位」を選ぶとすればなんなのでしょうか。

「あらゆる点のバランスがとれているという意味では、“木の王様”とも言われるチークがベストでしょうね。木材業者の多くがそう答えると思います。比重は0.7くらいなので、柔らかすぎず硬すぎない。虫に強く、油分が含まれているので汚れがつきにくい。使い込めば使い込むほどに艶が出る。そして、寸法の安定性も抜群に良い」

木の王様、チーク。たしかに、なんだか高級なイメージがあります。

「富士屋ホテルや旧帝国ホテルなど、日本の名だたるクラシックホテルにはチークが使われています。水にも非常に強く、豪華客船のウッドデッキに採用されることも多い。あのタイタニック号や、クイーンエリザベス号にも使われていたんです。先日、ミャンマーの工場へ行ったら、イタリアのベルルスコーニ大統領の自宅のウッドデッキに使うためのチークを買いに来ている人がいました(笑)」

と、すばらしいことづくめのチークですが、一国の大統領が自宅に使うだけあり、ほかの木に比べて価格が高いのが難点。もっと一般家庭向きで、知られざる良質の木材とかあったりしないでしょうかと無茶ぶりしたところ、「じつはとっておきの木がある」と正木さん。

「日本の家庭でいちばん素足に適しているのは杉だと思います。杉のフローリングってあまりなじみがないかもしれませんが、僕が自分の家に導入するなら杉にするかな。しかも、奈良県の吉野杉。吉野では室町時代くらいからずっと杉を植林していて、手をかけながら80年〜100年ほどかけて木を育てるんです。いま植えている杉も、伐採するのは3世代後の人です」

ブランド杉として知られる吉野杉。ネームバリューがあるだけでなく、その高い品質は折り紙つきだといいます。

「あえて密集させて植林することで、幹の上部と下部で太さがあまり変わらないまっすぐな木が育ちます。木が成長したら間引いて、また成長したら間引いて、さらに枝打ちして……といった作業を数十年にわたり繰り返すんですね。その結果、年輪幅が狭く強度があり、木目も美しいブランド杉に成長する。裸足で歩くと驚くほど気持ちが良いので、ぜひ試してみてください」

杉の魅力をアツく語る正木さんのお話を聞いているうちに、吉野杉のとりこになってしまったMUQUスタッフ。日本人が日本人家屋向けにつくった吉野杉の無垢フローリングを、MUQUにも導入したい……! というわけで、江戸堀の1室を杉(シダー)フローリングにしようとその場で決めてしまいました。春には完成する予定なので、またご報告します。

そして、吉野杉の加工工場を見学させていただくこともその場で決定。こちらも後日レポートしますので、お楽しみに。正木さん、どうもありがとうございました!

■株式会社エコロキア
兵庫県神戸市東灘区青木5-11-8 アート英和青木1F東
TEL:078-862-9936 FAX:078-862-9946
営業時間:9:00~19:00(日・祝休業)

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